あすかの人生劇場(ASD漫画ブログ)

アスペルガーのマンガ&エッセイです

アスペvsアスペの仁義なき戦い ②おあいこ


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仕事で知り合うアスペさんからは、例外なく「ピュア」な空気が漂ってきます。
定型さんからは感じられないその空気感が私はとても好きです。信用できます。

前回の茄子さんからもこの空気は漂っていました。

アスペvsアスペの仁義なき戦い ①完敗…前編 - あすかの人生劇場


今回の対戦相手は玉葱さんというのですが、茄子さんと玉葱さんは根本的な何かが違っていました。今考えると、茄子さんは「曲げられない自分」をしっかり持っていましたが、玉葱さんは持っていないように見えました。

抑圧しすぎて、矯正しすぎて、アイデンティティを無くしてしまったのでしょうか。私と似ていると感じました。

 

自分の思考をすぐ手放す…過剰同調性

彼は、呼びかけへの反応が異常に早いです。
考え事をしていても、自分が作業していても、相手から何かアクションがあったら、自分がしていたことをすぐに手放して全力で相手に傾聴します。

画像:まるで犬のよう


普通の人は、自分が考え込んでいる最中に話しかけられると、一呼吸おいてから反応しているように見えます。恐らくその0コンマ何秒の間に思考を整理し保存しているのではないでしょうか。

彼の場合、どんなときも自分の都合より相手に応えることの方が最優先。自分の思考ややりかけの仕事などを取るに足らないもののように捨て、相手の都合にひれ伏します。ワガママの対極の人です。従順、献身、自己犠牲、他者中心的です。当然仕事は中途半端に。

私も同じです。
発達障害者さんとは何人か出会ってきましたが、このような従順すぎる特徴を持っている人は玉葱さんだけでした。初めて見た時は、私の他にもこのような人がいることに感動し、それと同時に、今まで出会ったことがないほど希少な人種なのかと驚きました。


あまりにも他人を優先しすぎて、過度に適応してしまいます。自動的に適応しているため、もはや自覚していません。これを過剰同調性と言うそうです。

過剰同調性は、ストレスの多い子供時代を過ごした定型発達者でも陥ります。過敏に空気を読んで周りに合わせるため、非常に疲れてしまうのだそうです。

ASDの場合、他人との境界がないので自分を捨ててまで相手に合わせてしまうという違いがあります。自分を捨てている時点で相当なストレスのはずですが、そのストレスを自覚していないということは、軽く解離状態になっているのではないでしょうか。

www.asujinge.com


残念ながら、ASDは人の気持ちが分からないので、せっかく自分を捨ててまで過剰適応しても、その場に合った行動や言動ができません。こいつなんかおかしいぞ、という顔をされることが多々あります。

誰よりも協調性を重んじているはずのこの行動は、傍から見るとやはり違和感があるようです。彼は職場で舐められ、バカにされがちでした。私もそう、よくアホ扱いされます。彼は、良い大学を出て業界トップの会社の花形部署にいるのにですよ。

彼の場合、恐らく家庭や友人に恵まれているのでしょう。悲壮感はありませんでした。安心できる場所があるのだな、と感じました。 

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彼は、怒られた後も特に落ち込んでいる様子は見られませんでした。すぐに平気な顔で通常業務に取り組めるのです。端から見ると、反省しておらず重く受け止めていないように見えます。

ですが、同類の私から見ると、ストレスに耐えきれずに心を殺してしまったように見えるのです。動きを止めると死んでしまうマグロのように、彼はいつも忙しく仕事を入れていました。明るく、なんでもないような顔をしているけれど、いつか崩壊してしまうのではないかと思いました。


読み取れない人×読み取れない人=とんでもないものが出来上がる

玉葱さんは、ASDの例に漏れず、他人の意図をくみ取るのが苦手なようでした。言葉通りには受け取れていますが、言外の意味を察することができません。言われなくても分かるだろう!といつも怒られていました。

彼は、真摯に前向きに仕事に向き合っていました。理解できないなりに、言われたことを真っ直ぐがむしゃらにこなしていました。バカにされても腐らず謙虚にやっていました。

残念ながら、上司との相性が悪かったです。上司は言葉が少なく説明が不十分な人で、彼や私だけではなく、普通の人でも一度で意図を汲み取れない手ごわい相手でした。

玉葱さんは、上司の言う個々の「木」は言葉通り理解できましたが、どんな「森」を作りたいのかは理解できていませんでした。

私は派遣で単純作業の何でも屋のような役割をしていましたが、玉葱さんから私への指示は細部まできめ細やかで的確でした。感心しました。

しかし、私もまた、玉葱さんの言う「木」は理解できましたが、やはり「森」が理解できないのでした。「何のために」「何を作っているのか」が分からず不安でしたが、とりあえず言われた通りに作業しました。

後で分かったことですが、玉葱さんはグレーを白か黒にして私に伝えていました。どうりで私にピッタリの分かりやすい説明だったはずです。

何を作っているのか分からないまま2人で力を合わせて「木」を植えましたが、上司の求める「森」とは全然別のありえない物が出来上がってしまったようです。

玉葱さんは怒られてしまいました。
申し訳ないです。

2人の悪い部分がかけ合わさり増幅されてしまいましたという話です。
(今思い返すとちょっと面白い)


話し合って折り合いをつけることができない

人に合わせることに慣れてしまうと、お互いの意見をすり合わせて妥協点を探るという能力が育ちません。

漫画:すり合わせができない

↓本当はこんな感じにしたかったのですが、難しいです。

漫画:理想のすり合わせ


意見をすり合わせるのは難しいですよね、本当に。
ずっと孤独に戦ってきたから。

相手は敵ではないのだから、素直に自分の状況を説明すれば良いんですよね。もっと信用して良いんです。そうすれば、お互いに都合のよい妥協点が見つかるかもしれません。

いや、敵の場合もありますね。油断できません。すみません。


玉葱さんもまた、悪気無く失礼なことを言うし、平気で残業させるし、困ったこともありましたが、それはお互い様でしょう。彼は非常に謙虚な方で、マウンティングやマンスプレイニングがありませんでした。

おあいこです。